物件を購入する最後の項目です。銀行では取引日とも言います。
所有権を移転する日なので契約日は仏滅でも決済日は大安の日を選ばれる方が多いです。

<場所は?>

決済場所はローンの申込をした金融機関で行います。その場所に売主、仲介業者、司法書士に来てもらいます。支払う費用はそれぞれ支払先が異なるので、大きいお金も細かいお金も動きますが、場所が金融機関なので安心です。

<手順>

1.先に現地確認を済ませておきましょう。心配ならば皆さんに立会いしてもらいましょう。
更地の場合なら見ただけで分かりますが古家がある場合は建物の中の状況を見ておきましょう。ゴミやタンスなどがある場合は取り壊し費用に加算される場合があります。気の付いたところは決済までに解決しておきましょう。
2.次にあらかじめ決めておいた時間にローンを借りる金融機関に集合します。通常は売主、仲介業者、司法書士が集まります。買う物件に売主が抵当権を設定している場合は、その債権者が抵当権の抹消できる書類を持参している時もあります。まれにどうしても売主が時間の都合が付けれない場合は前もって司法書士に書類を預けてたりします。集合時間は午前中かまたは午後1時位までと決まっています。それは司法書士が決済の後、登記を移転するために官公庁を回ります。官公庁は午後5時位までで閉まってしまいますので、その時間も考慮し午前中か午後1時位までに行います。実際の取引場所は銀行の応接室などが多いです。
3.みなさんが集合しましたら司法書士の先生に売主が持ってきた書類を確認し、今日付けで所有権を移転できる書類が揃っているか確認します。揃っていなければ決済を中止し、金融機関は買主の通帳にローン金額を入金しませんし、買主はお金を払いません。書類が揃っていないのに、揃っていると嘘を言って買主にお金を支払わせると困るので慣習上買主が司法書士を選べます。しかし金融機関によって司法書士に抵当権設定の書類を渡すので、金融機関サイドでも信用のある司法書士でないといけない場合もありますし司法書士を知らないケースも多いので大抵買主側の仲介業者が用意したりします。
4.売主が用意した書類が問題なく司法書士に登記手続きを任せる委任状にサインをしたら、司法書士は銀行の担当者に「実行して下さい」と言います。実行とは買主の通帳にローン金額を入金する事です。買主は支払先の項目別にそれぞれ出金伝票を書いていきます。書きましたら通帳と一緒に金融機関の担当者に渡します。担当者はローンの通帳への入金とそれぞれの出金を同時に行います。
5.混んでいる時などは1時間以上待たされたりしますが、しばらくすると担当者が通帳と現金を持ってきます。大抵売買代金は振り込みになり、後は小口の現金なので、それを支払先にそれぞれ渡します。領収証をもらうのを忘れないようにしましょう。
仲介業者の領収書には印紙が貼ってありますが、売主からもらう代金の領収証には印紙を貼っていないケースがあります。これは売主が個人の場合で、営利目的の売買ではない場合には印紙税がかからないためです。
6.最後に権利証の受け渡しをどういった形で行うかを司法書士と相談します。本日付で司法書士は登記手続きを終了させますが、実際に権利証が出来上がるのが1週間から10日かかります。出来上がった権利証は大抵司法書士にもよりますが配達記録にて郵送したりします。

以上で全て終了です。銀行の混み具合によって時間はまちまちですが、大抵1時間程度は必要になると思います。

<持ち物>

決済の時一般的に用意しないといけない物は以下の通りです。

□通帳と銀行印
  一番重要な物です。絶対に忘れてはいけません。司法書士の確認後に通帳にお金が入金され、持ってきた銀行印で出金します。
□現金
  住宅ローン以外にまだ費用が必要な時は前持ってローンが入金される通帳に入れておくか、現金にて当日持ってきましょう。当日持ってきても通帳に入金すれば後で出金する時に履歴が残るので後で確認できます。残りのお金が定期に入れている場合は前もって解約しておきましょう。以前定期のお金で残代金を支払おうとしましたが定期の解約が設定した支店でしかできないので一度取引を中止し、決済場所から車で2時間程度走った支店までお客様を乗せて解約しに行ったことがあります。気をつけましょう。
□印鑑
  実印を用意しましょう。
□住民票
  1通必要です。共有名義予定者が同じ住所ではない場合はそれぞれ1通必要です。しかし住民票は司法書士が職権で取得できますので親切な先生は不要と言ってくれます。
□印鑑証明証
  こちらも1通用意しましょう。金融機関にローンの申込をする時にすでに数枚印鑑証明証を提出している時は不要の場合があります。
□契約書等
  別段不要ですが、もしなにか確認事項があるといけないので用意しておきましょう。
□本人確認書類
  多額の現金の振込みなどは金融機関は本人確認書類を求めてきます。運転免許証か健康保険証できれば両方用意して下さい。

一般的な決済時の持ち物は以上になります。

<費用内訳>

決済の時に買主が支払う費用の内訳は次の通りです。

□売買代金
  当然支払わないといけない費用です。一番額が多いのは当然ですね。
□固定資産税精算金
  契約書の条文にも記載されていますが、取引する年の固定資産税及び都市計画税を4月1日を基準にして365日で日割り計算し、売主に支払います。
  固定資産税や都市計画税というのは1月1日の所有者付けで4~5月ぐらいに納付書が送られてきます。ですので1月1日から3月31日までに決済を行った場合は前年度の税金の清算を行い、その年の税金は売主に納付書が送られてきますので納付書を仲介業者が預かり買主に届けて買主が売主名義で納付するか、または税額を買主が売主に支払います。
□ローン事務手数料
  金融機関に支払います事務手数料です。一律で31500円になります。既にローン分が通帳に入金される際に差し引かれてる場合が多いです。申込人が2人以上の場合や土地と建物でローン申込みをされている方は倍額必要になる時があります。
□ローン保証料
  金融機関に支払いますローンの保証料です。実質無料の場合があり、不要の時がありますが不要か必要かは金銭消費貸借契約の時に分かります。
□振込費用
  金融機関により必要になる時があります。ローン金額を通帳に振り込みする費用です。500円程度です。
□住宅ローン代行費用
  業者に支払いますローン代行の費用です。金額は業者によって差があり無料のところもあります。
□登記費用
  司法書士に支払う登記手続きに要する費用です。登記費用の内訳は、その大部分が登録免許税と言われる税金です。ごくまれに登記費用を無料にするよう主張される方がいらっしゃいますが、税金のため無料にはできません。
□仲介手数料
  仲介業者に支払う手数料です。契約時半金を支払っている場合は、残金になります。

一般的な費用項目は以上になりますが、契約の時の取り決めでいろいろ変わりますので、詳細は業者に確認しましょう。

<お金の種類は?>

「金種」と呼ぶ場合があります。現金、振込み、小切手など種類がありますが、どれで用意するかも場によっては重要です。
まず現金にて支払う場合は、数日前に銀行に言っておきましょう。銀行にもよりますが、多額の現金は支店で持ち合わせがない場合があります。1000万円を超える場合には必ず指定日に用意しておくよう言っておきましょう。
振込みの場合は一番問題ありません。金融機関で場所を借りて決済をする場合には一般的な方法でお金を数える必要もなく便利です。でも目の前で現金を移動しませんので、多額の現金を記念にみておきたいと残念がる方もいらっしゃいます。
振込みをすると控えが手元に残りますが、売主が通帳にて確認できるのが1時間前後必要になるため、時間の短縮を図りたい売主は現金で渡された方がよい場合もあります。
小切手は、当座小切手だと不当たりを出す恐れがあり売主の安心の意味も含めて銀行保証小切手にしましょう。しかし購入する物件に抵当権が設定されている場合、売主は決済の時支払われたお金で債権者に返済し、当日に抵当権を抹消します。残代金を小切手にしてしまいますと、それを現金化するのに2~3日必要になり抵当権の抹消ができないので抵当権のある物件は絶対に小切手はやめましょう。決済できません。

<共有名義>

買う物件の名義を誰にするかも重要な項目の一つです。ローンを借りる場合には名義人を指定される場合が多いです。現金購入と違い共有名義にできない時が多々あります。連帯保証人や連帯債務者になっている場合にはその人の持分を入れる事ができます。
また、親子の共有は可能ですが兄弟の共有はできないケースが多いです。本当はお金の出した人がその物件を所有するのでお金を出した人以外の名義にする場合は当然贈与になってしまいます。
その点を注意し、また将来の事も考えて決めましょう。

<不動産取得税>

決済が終わりましたら後は権利証の届くのを待つだけです。取引は終了し、決済日より自分の所有物になります。支払いも全て終わって一安心・・・・の後に来るのが不動産取得税です。不動産を取得後2~3月以内に来ます。税額は物件によってさまざまですが、古い家が建っていたり更地の場合は減税がないので割高です。もし購入した土地に新築を建てる予定であれば、徴収猶予してもらいましょう。土地購入時にはとりあえず税額を支払わず、新築が建った段階で払います。そうしますと新築の減税効果があるので更地より税金が安くなります。

<購入者は必ず出席する必要はない>

決済日当日にどうしても購入者本人がこれない場合は別段本人じゃなくても問題ありません。奥さんや親御さん等代理人で問題ありません。委任状も不要のケースが多いです。
前もって金融機関に確認した方がいいですが、本人からの必要な書類や印鑑は既に金銭消費貸借契約時に完了していますので絶対に本人が来てくださいとは言わないでしょう。
あくまで登記上や書類上の話ですので、やっぱり最後位は売主に会っておこうと思われてできるだけ時間を合わせて頂ける場合が多いです。しかしどうしてもの場合は別段奥さん等の代理人でもいいです。
物件の残りのお金を振り込みする場合は、多額の振込みになりますので金融機関によっては、本人確認をされる場合があります。その場合は金融機関にもよりますが、通帳名義人の免許証や健康保険証の提示で対応してくれる時もありますので決済前に前もって銀行に確認した方がいいでしょう。

<ローン以外に必要な現金は?>

不動産や物件購入にローンを利用するが全額ローンではなく一部現金で支払う場合は、決済日に現金を決済場所に持っていくか、またはあらかじめローンを借りる銀行の通帳に入金しておきましょう。
前もってローンを利用する通帳に必要な金額分を入金しておくのがベストです。できれば第1回目の支払い日が割りと近い時もあるので1回分のローン返済額も加えて入金しておけば安全です。
決済日が第1回目の支払い日に近く、かつボーナス支払い月にあたる方もいらっしゃいました。その方は決済金と1回分のローン返済額とボーナス返済額を入金しないといけませんので一番お金がかかる時期に重なり大変だったようです。
前もって入金できない場合は当日持参されてもまったく問題ありませんが、用意した現金から各支払い先に支払うのではなく一旦ローンの通帳に入金したから出金していった方が通帳に記帳されるので後で確認しやすく便利です。

<住宅を購入すると登記費用が安くなる>

住宅、つまり住む為の家を購入する場合は、ローンを使用して購入するかどうかにかかわらず物件自体の一定条件を満たせば諸費用項目の中の登記費用が安くなります。
住む為の購入という事を証明しないといけないので、今住んでいる家が賃貸である場合は賃貸契約書のコピーや親の家に住んでいる場合は現在の自宅の登記簿謄本などを司法書士に提出します。
登記費用の見積りを出す時に司法書士が登録免許税が安くなると判断すれば、そういった書類の提出を求められ、見積り段階ですでに減税が効いた金額を提出されます。
何度も言いますが住む為の家なので当然別荘やセカンドハウス的な使用目的で購入する家は減税が効かず安くなりません。住む為の家として証明できて一定の条件を満たせばれば安くなりますが・・・