物件を現金で購入する場合はローンに関係する費用が必要ありませんので諸費用の面で割安になります。結果として別段手付金と決済を分ける必要がない場合もありすぐに所有権移転も可能です。

物件を購入する最後の項目です。銀行では取引日とも言います。
所有権を移転する日なので契約日は仏滅でも決済日は大安の日を選ばれる方が多いです。

<一括取引>

よく行われる取引では、まず契約をしてその後に決済という残金の支払いがあり所有権移転になります。これは不動産を購入するほとんどの人がローンを利用するので、その申込をする時間が必要な場合や、全ての現金の用意がすぐにできずにしばらく期間を空ける場合・また購入物件が入居中で引越しに時間が必要な場合などがその理由です。
しかし、ローンを利用せず、またすぐに全ての現金を用意できる場合は別段契約と決済を分ける必要はありません。一括取引(契約同時決済とも呼んでます)といって契約と決済を一日で終了させる方法もあります。銀行などで場所を借りて行う場合が多いです。そうすれば先方の都合を確認し、時間を作ったりする手間も短縮でき、わずらわしいものもありません。

<リフォーム・諸費用でローンは使わない>

物件の購入を現金で行い諸費用やリフォームでローンを組む方法はできれば避けた方が良いと思います。前ページで書いていますが銀行の商品としてあるリフォームローンや諸費用ローンは金利が住宅ローンと比較して割高な場合が多いです。ですのでローンをリフォームや諸費用で組む位なら物件価格の一部をローンでまかない、諸費用やリフォームは現金で行った方が得策です。またリフォームローンは担保を必要とする有担保と担保を必要としない無担保ローンがあります。
※最近ではリフォームローン・諸費用とも住宅ローンと同じ金利で借りる事ができる金融機関も増えましたのでこの限りではなくなりました。

<場所は?>

基本的に場所はどこでもかまわないと思います。当事者が納得できる場所にしましょう。現金を持ち歩くのが不安の方は預金のある銀行で場所を借りて売主に来てもらいましょう。そこから振込みをすれば安全です。最近本人確認が厳重になりましたので多額の振込みは身分証明書の提示を求められる場合があります。
不動産業者の事務所で行う場合も多いです。今までの経験では、銀行・不動産業者の事務所・売主の自宅などがありました。

<持ち物>

当日用意する物は以下の通りです。

残代金等金銭
  一番重要な物です。絶対に忘れてはいけません。決済場所を銀行で行う場合は残代金の入っている通帳と銀行印が必要です。定期に入れている場合は前もって解約しておきましょう。以前定期のお金で残代金を支払おうとしましたが定期の解約が設定した支店でしかできないので一度取引を中止し、決済場所から車で2時間程度走った支店までお客様を乗せて解約しに行ったことがあります。気をつけましょう。銀行以外で行う場合にはそれぞれの費用の支払先が異なるためおつりのないようにそれぞれを封筒にまとめておくと業者がよろこびます。銀行等で行う場合はおつりも用意する必要もないので便利です。
印鑑
  実印を用意される方がおられますが印鑑証明書を必要としないので別段どんな印鑑でもかまいません。
住民票
  1通必要です。共有名義予定者が同じ住所ではない場合はそれぞれ1通必要です。しかし住民票は司法書士が職権で取得できますので親切な先生は不要と言ってくれます。
契約書等
  別段不要ですが、もしなにか確認事項があるといけないので用意しておきましょう。
本人確認書類
  多額の現金の振込みなどは金融機関は本人確認書類を求めてきます。運転免許証か健康保険証できれば両方用意して下さい。銀行等で行わない場合は不要です。

以上、特別な取り決めがなければ上記のみで決済は可能です。

<手順>

1.先に現地確認を済ませておきましょう。心配ならば皆さんに立会いしてもらいましょう。できれば契約の時に取り決めした付帯設備表を持っていき照らし合わせてみましょう。ゴミなどが残っている場合はその場で伝えて決済日までに撤去しておいてもらいましょう。
2.次にあらかじめ決めておいた取引の場所に集合します。通常は売主、仲介業者、司法書士が集まります。買う物件に売主が抵当権を設定している場合は、その債権者が抵当権の抹消できる書類を持参している時もあります。まれにどうしても売主が時間の都合が付けれない場合は前もって司法書士に書類を預けてたりします。集合時間は午前中かまたは午後1時位までと決まっています。それは司法書士が決済の後、登記を移転するために官公庁を回ります。官公庁は午後5時位までで閉まってしまいますので、その時間も考慮し午前中か午後1時位までに行います。
3.みなさんが集合しましたら司法書士の先生に売主が持ってきた書類を確認し、今日付けで所有権を移転できる書類が揃っているか確認します。揃っていなければ決済を中止し、買主はお金を払いません。書類が揃っていないのに、揃っていると嘘を言って買主にお金を支払わせると困るので慣習上買主が司法書士を選べます。しかし司法書士を知らないケースが多いので買主側の仲介業者が用意したりします。
4.売主が用意した書類が問題なく司法書士に登記手続きを任せる委任状にサインをしたら、物件代金や登記費用、手数料をそれぞれ支払います。領収証をもらうのを忘れないようにしましょう。仲介業者の領収書には印紙が貼ってありますが、売主からもらう代金の領収証には印紙を貼っていないケースがあります。これは売主が個人の場合で、営利目的の売買ではない場合には印紙税がかからないためです。
5.を売主からもらいます。鍵はスペアも含め全てもらいますが、売却するために複数の不動産業者に鍵を預けていた場合も考えられますので念のため交換しましょう。鍵の交換は1万5千円~2万円位です。
6.売主より管理規約や使用細則、総会資料をもらいます。また「区分所有者変更の届出」という書類を売主からもらいますのでそこに記名し後に管理人さんに渡します。管理費等も引き落としになるので自動振り替えの用紙なども貰っておいた方がよいでしょう。
7.最後に権利証の受け渡しをどういった形で行うかを司法書士と相談します。本日付で司法書士は登記手続きを終了させますが、実際に権利証が出来上がるのが1週間から10日かかります。出来上がった権利証は大抵司法書士にもよりますが配達記録にて郵送したりします。

以上で全て終了です。現金決済の場合はあらかじめ現金が用意されているので大体30分程度で終了します。早い場合で15分というのもありました。

<費用内訳>

決済の時に買主が支払う費用の内訳は次の通りです。

売買代金
  当然支払わないといけない費用です。一番額が多いのは当然ですね。
固定資産税精算金
  契約書の条文にも記載されていますが、取引する年の固定資産税及び都市計画税を4月1日を基準にして365日で日割り計算し、売主に支払います。
  固定資産税や都市計画税というのは1月1日の所有者付けで4~5月ぐらいに納付書が送られてきます。ですので1月1日から3月31日までに決済を行った場合は前年度の税金の清算を行い、その年の税金は売主に納付書が送られてきますので納付書を仲介業者が預かり買主に届けて買主が売主名義で納付するか、または税額を買主が売主に支払います
管理費等精算金
  管理費も固定資産税と同じく日割り計算または月割り計算します。マンションにより毎月何日に口座から引き落とされるのかは違います。もし決済日が引き落とされる日に近い場合は決済の時に清算する管理費等は2ヶ月分にしましょう。もし決済の日に渡される管理費等の自動振込みの用紙を管理人に提出するのが遅れますと来月分も売主の口座から引き落とされてしまいます。ですのでそれほど決済日と引き落とし日があいていない場合は2ヶ月分清算しておいたほうが無難です。
登記費用
  司法書士に支払う登記手続きに要する費用です。登記費用の内訳は、その大部分が登録免許税と言われる税金です。ごくまれに登記費用を無料にするよう主張される方がいらっしゃいますが、税金のため無料にはできません。
仲介手数料
  仲介業者に支払う手数料です。契約時半金を支払っている場合は、残金になります。

一般的な費用項目は以上になりますが、契約の時の取り決めでいろいろ変わりますので、詳細は業者に確認しましょう。

<お金の種類は?>

金種」と呼ぶ場合があります。現金、振込み、小切手など種類がありますが、どれで用意するかも場合によっては重要です。
まず現金にて支払う場合は、数日前に銀行に言っておきましょう。銀行にもよりますが、多額の現金は支店で持ち合わせがない場合があります。1000万円を超える場合には必ず指定日に用意しておくよう言っておきましょう。
振込みの場合は一番問題ありません。金融機関で場所を借りて決済をする場合には一般的な方法でお金を数える必要もなく便利です。でも目の前で現金を移動しませんので、多額の現金を記念にみておきたいと残念がる方もいらっしゃいます。
振込みをすると控えが手元に残りますが、売主が通帳にて確認できるのが1時間前後必要になるため、時間の短縮を図りたい売主は現金で渡された方がよい場合もあります。
小切手は、当座小切手だと不当たりを出す恐れがあり売主の安心の意味も含めて銀行保証小切手にしましょう。しかし購入する物件に抵当権が設定されている場合、売主は決済の時支払われたお金で債権者に返済し、当日に抵当権を抹消します。残代金を小切手にしてしまいますと、それを現金化するのに2~3日必要になり抵当権の抹消ができないので抵当権のある物件は絶対に小切手はやめましょう。決済できません。

<共有名義>

買う物件の名義を誰にするかも重要な項目の一つです。ローンを借りる場合には名義人を指定される場合が多いですが、現金購入の時は誰に指示される事もありません。本人単独名義にするか、奥さんとの共有にするか、または子供と共有にするかなどさまざまな形態があります。持分も2分の1や3分の1と2・1000分の10と1000分の990などどんな分け方にしてもそれぞれに理由がありますの結構です。しかし気をつけないといけないのは税金です。本当はお金の出した人がその物件を所有するのでお金を出した人以外の名義にする場合は当然贈与になってしまいます。その点を注意し、また将来の事も考えて決めましょう。

<不動産取得税>

決済が終わりましたら後は登記識別情報の届くのを待つだけです。取引は終了し、決済日より自分の所有物になります。支払いも全て終わって一安心・・・・の後に来るのが不動産取得税です。不動産を取得後2~3ヶ月以内に来ます。税額は物件によってさまざまですが、築浅の住宅用物件の場合は減税が多く安いまたは請求がこない場合が多いです。

<購入者は必ず出席する必要はない>

決済日当日にどうしても購入者本人がこれない場合は別段本人じゃなくても問題ありません。奥さんや親御さん等代理人で問題ありません。委任状も不要のケースが多いです。
あくまで登記上や書類上の話ですので、やっぱり最後位は売主に会っておこうと思われてできるだけ時間を合わせて頂ける場合が多いです。しかしどうしてもの場合は別段奥さん等の代理人でもいいです。
物件の残りのお金を振り込みする場合は、多額の振込みになりますので金融機関によっては、本人確認をされる場合があります。その場合は金融機関にもよりますが、通帳名義人の免許証や健康保険証の提示で対応してくれる時もありますので決済前に前もって銀行に確認した方がいいでしょう。

<住宅を購入すると登記費用が安くなる>

住宅、つまり住む為の家を購入する場合は、ローンを使用して購入するかどうかにかかわらず物件自体の一定条件を満たせば諸費用項目の中の登記費用が安くなります。
住む為の購入という事を証明しないといけないので、今住んでいる家が賃貸である場合は賃貸契約書のコピーや親の家に住んでいる場合は現在の自宅の登記簿謄本などを司法書士に提出します。
登記費用の見積りを出す時に司法書士が登録免許税が安くなると判断すれば、そういった書類の提出を求められ、見積り段階ですでに減税が効いた金額を提出されます。
何度も言いますが住む為の家なので当然別荘やセカンドハウス的な使用目的で購入する家は減税が効かず安くなりません。住む為の家として証明できて一定の条件を満たせばれば安くなりますが・・・